【ほぼ百字猫】
このあいだ、『ねこすもす』という芝居に出ました。
猫の役です。
劇中で、【ほぼ百字小説】の朗読をやりました。
劇中の猫として朗読するのです。
芝居の中では客席のお客さんに向かってやるわけです、別の猫に向かってやっている、という設定になっています。同じ舞台の上に、それを聞いている猫役がいます。
稽古のときはべつに普通に朗読している感じだったんですが、本番になると実際に客席にお客さんがいて、なんともへんてこな感じでした。
いろんなレベルが交錯してて、ちょっとメタフィクション的です。
猫の芝居なので、【ほぼ百字小説】の中から猫関連のものを選びました。それで、【ほぼ百字猫】。
というわけで、セットリスト。
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【ほぼ百字小説】(2) 二階の物干しのすぐ前に裏の家との境のブロック塀があって、猫の通路になっている。とつとつと肉球を鳴らし、猫一匹分の幅の塀の上を猫が次々に歩いていく。夕方、交通量が増えると、後足で立って横歩きですれ違う。
【ほぼ百字小説】(105) なあああお、と猫。反対側からそれに答えるように、なあああお。さらに別のところから、なあああお。そしてまた、と犬の遠吠えのごとく延々続く。いったい何匹いるのだ、と最初は不安になったものだが、じつは一匹。
【ほぼ百字小説】(381) なあああお、と猫。それに答えるように、なあああお。さらに、なあああお。事情通によると、これはチューニングらしい。音程に厳しい猫が一匹いると、いつまでたっても曲までたどり着けない。鼠はいなくなるけどね。
【ほぼ百字小説】(1302) 猫の集会ではなく、猫になるための集会なのだ。もちろんそのために参加している。人だけでなく猫の姿もあって、でもその猫は最初から猫だった猫ではなく、ひと足先に猫になった人だというのだが、本当なのかにゃあ。
【ほぼ百字小説】(1326) もちろん猫にもいろいろあって、だから自分に合う猫を見つけるのが肝心、といろんな猫を観察したり動画を見たりしたが、結局は自分の中にいる猫を引き寄せるのがいちばんだと気づいて、餌付けに取りかかったところ。
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(1302)は、この「ねこすもす」の稽古に行った初日に書いたもの。
(1326)も、稽古中に書きました。