『じわじわ気になる100字の小説』使用上の注意
「前書き」のかわりに本の冒頭に付けた文章です。
どういう本なのかを説明するのにちょうどいいので、ここに全文を載せます。
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【使用上の注意】
この本には、すごく短い小説が130話入っています。読んでみると、なんだかもやもやしたり、すっきりしないと感じたりするかも。きちんとした解決や結末はありません。どういうことだったのか。このあとどうなるのか。読んだだけではわかりません。でも、小説はクイズでも試験問題でもないので、正解は必要ないんです。
正解があると人間は安心しますよね。逆に正解がないと言われると、落ち着かない。なんとなく不安になります。そんな気持ちを楽しむ。これはそういう小説です。
不安なんて、普通は嫌ですよね。でも小説でなら、そんな宙ぶらりんで頼りない気持ちを楽しむことができる。なぜ小説(そしてフィクション)にはそんなことできるのか。じつは、小説を書いている私にもよくわかりません。でも、小説の中の不安はなんだかおもしろい。それは知っています。
ちょっと子供には難しい楽しみかたです。
いや、本当を言うと、大人にだって難しい。
どうですか? 楽しめそうですか?
まあ最初のひとつふたつみっつよっつ、くらい読んでみて決めればいいですよ。すぐ読めます。ゆっくり読んでもひとつ15秒くらいですからね。
さあ、どうします?
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